「親子の縁を切る」とは

 よくテレビなどで、「親子の縁を切る、勘当する」というようなセリフが出てきます。

 現在の世の中でも、「親子の縁を切った」、「兄弟の縁を切った」等という話はよく聞きます。

 だいぶ前の話にはなりますが、ドキュメント番組で、ホストと交際をしていた女性が妊娠・中絶し、その女性の両親が、ホストの両親に「責任をとれ。」と詰め寄ったのに対して、「息子には、ずいぶん迷惑をかけられたので、もう親子の縁ををきっている。」と反論している場面を見たことがあります。

 では、この親子の縁を切った、兄弟の縁を切ったということは、法律上の効力はあるのでしょうか?

 法律的には、親子の縁を切ることはできません。

 親は親、子は子であり、家庭裁判所に相続の廃除の申立(相続人の振る舞いが著しく背信的な場合しか認められない)でもしない限りは、遺留分などの相続権は残ってしまいます。 

 また、縁を切っても、親が借金をして亡くなってしまえば、家庭裁判所で相続放棄の手続きをしない限り、縁を切った親の借金を相続することになってしまいます。

 もっとも、親子であっても、通常は、子どもや親のしたことについては責任は負いません(子どもが未成年で、管理者としての責任を問われるとき等例外はあります)。例えば、子どもが、借金を返せなくなったからといって、親が代わりに返済しなければならないということはありません(相続の場合を除く)。また、自分の息子夫婦が、息子の浮気を原因に離婚に至ったとしても、親が息子の奥さんに慰謝料を支払う必要はありません(相続の場合を除く)。

 

 親子の縁を切るというのは、法律的には意味がありません。道義的には非常に重たいですが。