労働審判について

 労働審判というものをご存知でしょうか

 労働審判手続きとは、解雇や賃金などを巡る労働紛争について裁判官(審判官)と労働審委員(非常勤の公務員:そこそこ労働法に詳しい一般人)が、会社側の担当者と労働者側から直接必要な事項を聴取して、解決案を提示してくる制度です。会社側にとっては、かなりの確率で、厳しい解決案を提示されるものと覚悟しておく必要があります。

 まず、通常の裁判との違いは、労働審判は早期紛争解決を目指すものであり、最大でも3回目までには解決案が提示されるという点です(ほとんどのケースは、2回目までで和解が成立することが多いです。4回目はありません。)。この点は、会社にとっても労働者にとってもメリットといえるでしょう。

 次に、通常の裁判と比べると、証拠調べもざっくりとしたものであり、解決案もざっくりとしたものであることが少なくありません。

 次に、会社の社長や専務など、紛争を解決できる決定権限のある人が出頭しなければならないという煩雑さもあります。これらは、会社にとってデメリットといえるかもしれません。特に中小企業においては、社長や専務は、会社のエースや4番バッターで、稼ぎ頭であることが多いのに、不利な結果が予想される労働審判に時間を拘束されることになります。

 裁判所に出頭する以上、直接裁判官から質問されます(代理人としては、何か不利なことを言わないかヒヤヒヤします。)

 会社側としては、経済的な観点からみても、労働審判に持ち込まれる前に紛争を解決するという意識、もっと言えば、紛争を予防するという意識を持つことが大切だと思います。

 そのためにも、顧問弁護士や社会保険労務士と、しっかりと連絡を取り合って情報共有しておくことが大切だと思います。