法定相続人間の関係が希薄であるときの遺産分割協議について

相続・遺産分割の問題は、仲の悪い兄弟姉妹だけで起こるものではありません。

当事者の関係が全く稀薄であるケースも珍しくはありません。

例えば、被相続人が再婚した場合には、再婚相手と遺産分割協議をしたり、(再婚相手がなくなっているときには)再婚相手の子供や兄弟姉妹と遺産分割協議をしなければならないこともあります。また、自分の父母の兄弟が独身で亡くなった場合には、会ったことのない親戚と遺産分割協議を通じて初めて会話するということもあります。

このように関係が希薄になった法定相続人間での遺産分割協議は、簡単にまとまる場合もあります(単純に、機械的に分ける場合など)。

しかし、当事者が多くなると、どうしても連絡が取れない人や感情的になる人も出てきたりと、紛争が長引くことも珍しくありません。

こうしたときには、どの程度まで、自分で交渉をするのか、見極める必要があると思います。

交渉でまとまる可能性がないのに、なんとか自分で解決しようと頑張っても、時間を浪費するだけになってしまいます。中には、交渉の頻度がだんだん間延びして、弁護士に依頼するまで、何十年も要したという人も少なくありません。

交渉でまとまる可能性がないのであれば、早急に、家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てるべきでしょう。もちろん、自分の思うような結論になるとは限りませんが、少なくとも、当事者間で合意ができないときには、裁判所が結論を出してくれるので、いつまでも相続問題を解決できないという事態を回避することが可能です。

相手方がたくさんいるときには、相手方の意見を集約してくれる人がいると、交渉がまとまる可能性は高くなると思います(相手方Aさん・Bさん・Cさんが仲が良くて、AさんがB・Cの意見もまとめたうえで交渉してくれる場合など)。

また、互いに譲歩し合えるうちは、交渉の余地が残っているかと思います。

しかし、お互い譲歩する余地がなくなった場合や、感情的な問題(どちらが正しいとか、どちらが不義理だとか)が主たる争点になってしまった場合には、調停を申し立てた方がよいでしょう。

すくなくとも、感情的な問題が主たる争点になった時、相手方が道徳的な説得をしたところで、納得することは稀です(どちらも自分が正しいと信じ込んでいる以上、わかりあえることはないのが一般的です)。

関係が希薄な法定相続人が多いときには、交渉を始める前に、一度弁護士に相談することをおすすめいたします。