不倫相手の夫から過大な請求を受けたケース

困っている顔(男性)

既婚者であるSさんは、Bと不倫をしていましたが旦那Yに不倫が発覚してしまいました。
Yは、Sさんに対して、不倫の代償として、今勤務している会社を退職すること、慰謝料1000万円などを要求してきました。
Sさんは、対応に困りどうしていいか悩んでいると、Yは、Sさんの職場に押しかけてきたり、不倫の事実を記載した怪文書を職場にFAXしてきました。
また、Yは、Sさんの自宅も知っており、ポストにSの奥さん宛に不倫の事実を記載した手紙を入れたりしてきていました。
Yが強面であり言動も粗暴であったことから、Sさんは強い恐怖を感じ、自分自身ではどうしようもなくなったことから、私のところに相談に来ました。

私は、Sさんから依頼を受け、直ちに、Yに連絡を取り、改めてこちらから和解案を提示すること、職場にファックスを送付したりすると犯罪に該当する可能性があることを指摘しました。
また、Sさんには、警察に相談に行ってもらい、警察からもYに対して警告をしてもらいました。
後日、私から、Yに対して、職場を退職することには絶対に応じられないこと、慰謝料についても1000万円という金額には到底応じられない、裁判をした場合に想定される慰謝料額しか支払わないことを伝えました。すると、Yは激怒して、私に対して、あらゆる手を使ってでもSに会社を辞めさせるなどの脅し文句を言ってきました。私は、Yの行動が法に触れるときには直ちに警察に通報すること、現在のYの主張を前提とした交渉に応じる意思は一切ないことを伝えて交渉を打ち切りました。

Yは、後日、弁護士を選任して、代理人を通じての交渉を申し込んできたため、弁護士間で交渉を継続することになりました。
結果として、解決金150万円を支払うことで和解が成立しました。
当然ではありますが、Yからの嫌がらせもなくなりました。

不貞相手の配偶者が感情的になるのは当然のことであり、会社を辞めるように要求して来たり、法外な慰謝料を請求してくることも珍しくはありません。時間の経過とともに、より過激になってきたり、一切譲歩してこない人もいます。そのようなときには、相手方のご機嫌を伺う態度、高圧的に出れば自分の思い通りになると勘違いさせ、かえって紛争を長引かせる恐れがあるので、毅然とした態度をとる必要があります。法に触れるような行動をしてくるのであれば刑事告発・告訴も視野に入れて行動する必要があります。
慰謝料額については裁判例を参考にした金額を提示しますが、会社を退職することなど応じられない無理難題の要求については、応じる意思がないことを明確に伝えます。
それでも相手が譲歩しないとき、交渉ではまとまる余地がないとき、交渉の打ち切りを伝えてもよいかと思います。なぜなら、裁判をしたとしても、会社の退職しろという要求や法外な慰謝料が認められることはないからです。また、交渉の打ち切りを伝えて、相手方が弁護士を選任してくれるのであれば、まともな協議をスタートさせることも可能だからです。
過大な要求があるとき、特に、慰謝料以外の請求もされているときには、早急に弁護士に相談することをすすめます。