養育費と時効の話

さて、今日は、養育費についてお話しさせていただきます。

法律相談で、養育費は時効にかからないのですか?と質問を受けたことがあります。

たとえば、あるシングルマザーが、生まれてから10歳になるまで、父親に養育費を請求していなかったとします。この場合、10歳から成人になるまで、毎月養育費を払えと請求することは許されるので、そういう意味では時効により養育費の請求権が消滅したとは言えないでしょう。

但し、裁判所は、子どもが0歳から10歳までの養育費をすべて支払えとは言ってくれないでしょう。おそらく、申立月からの養育費を支払えというにとどまるのではないでしょうか。

次に、離婚の際に養育費を定めている場合はどうでしょうか。

最高裁の判例などは見当たりませんでしたが、公正証書や離婚協議書で養育費を定めている場合は、5年以上前の未払い養育費は時効により消滅することになると思います(民法169条の定期給付金に当たると思われるため)。

次に、調停での和解調書や判決、審判書で養育費について定めがある場合には、10年以上前の未払い養育費は時効により消滅することになります(民法174条の2の第1項)。

何か難しいですね。