債権回収手段としての仮差押え

債権回収について調べているとき、仮差押えという手続きを耳にしたことがあるのではないでしょうか。

「仮差押え」は、相手方の資産を把握できている場合に、裁判をする場合に、相手方が勝手に財産を処分できないようにしてしまう手続きです。具体的には、不動産の仮差押え、預金の仮差押え、動産の仮差押えなどです。

これは、裁判の途中で、相手の財産が亡くなったり、隠されたりするのを防ぐために行われるものです。

この手続きにより、勝訴判決をもらった後の金銭の回収が容易になります。

また、預金を仮差押えすると、取引銀行との関係から、早急に仮差押えを解除してもらうために、自発的に代金を支払ってもらえることもあります。

もっとも、「仮」とついているからと言って、簡単に認められるわけではありません。

手続きが簡単というわけでもありません。むしろ、手続きは複雑です。

当然ですが、契約書とか発注書・請書等の自分が金銭の支払いを求めている根拠を示す資料が必要になります

また、担保金を用意する必要があります。仮差押えは、債権者からの一方的な申し立てにより行われるため、例えば虚偽の事実の申立てにより仮差押えが行われ、これに基づき債務者が損害を被った場合などに備えて、損害賠償金に充当するために担保金を裁判所に納めておくことが必要なのです。

ちなみに、不動産・動産を仮差押え(処分禁止の仮処分を含む)するのであれば、目的物の価値の10%~40%程度、預金や売掛金債権を差押えるのであれば差押える金額の10~30%、動産の場合は動産の価値の10%から30%の担保金が必要になります。

 不動産がある場合には、預金や売掛金債権については、仮差押えが認められない場合がります(裁判所から、まず、不動産から仮差押えしてくださいと言われる可能性があります)。

相手方が大企業など、財産を散逸させる恐れがなく、判決がでればしっかりと売掛金を支払うような相手であれば仮差押えは不要です。しかし、それ以外は、金銭的な余裕があることが前提になりますが、資産を把握しているのであれば、訴訟を提起する前に、仮差押えをすることをおすすめします。