時効について

事事件についてのニュースを見ていると、重大事件であるにもかかわらず、何年たっても犯人が逮捕されず、時効を迎えてしまったという話を聞きます。時効というものに対しては、基本的には否定的な意見を持っている人が多いような気がします。

 ここで、刑事事件でいう「時効」について、いつがタイムリミットなのか。通常の人は間違った認識を持っているような気がします。



昔、テレビドラマなど、時効を迎える数時間前に、真犯人を発見して逮捕した、これで、全て解決したというものを見た記憶があります。

しかし、法律では、ただ単に被疑者を逮捕しただけでは時効は停止しません。検察官が公訴を提起して初めて時効は停止します(刑事訴訟法254条1項参照)。すなわち、被疑者を起訴して、初めて時効が停止するのです。

検察は、被疑者を逮捕してから、証拠を検討したり、取調をして、犯人に間違いないかを確認し、裁判で被疑者が犯人であること等を立証できると確信して、はじめて起訴することになります。

そして、それらの作業をほんの数時間でするのは、極めて困難であると思います。

よって、時効完成の数時間前に、犯人を逮捕したところで、結局は時効が完成し、処罰できないことになってしまうのではないかと思います。