20年以上放置してきた遺産分割問題を解決したケース

Mさんの父親は、地元の名士といわれる家の跡継ぎでした。
Mさんの父親は、Mさんが幼い時に亡くなり、母親が父親の全財産を相続しました。

なお、Mさんから聞いた話では、親族間の協議で、いずれMさんが全ての財産を引き継ぐまで、一時的に財産を母親名義することになったようです

母親は、亡くなる2,3年前に、ある男性と再婚をしました。
その後、母親がなくなり、その1,2年後に再婚相手の男性もなくなりました。

Mさんは、再婚相手の子供と、相続問題について協議をしようとしましたが、感情的な問題や、もっと財産があるはずだと主張されてしまい、まともに話し合いができず、遺産分割協議を断念してしまいました。
それから20年以上が経過し、Mさんも60代後半になり、そろそろ、この相続問題を解決しなければならないと考え、私のところに相談に来ました。

依頼を受けた後、私は、直ちに、再婚相手の子供たちに、遺産分割協議の申し入れをしました。

しかし、再婚相手の子供たちも一枚岩ではなく、再婚相手の子供たちの意見を集約するまとめ役のような人もいませんでした。

また、再婚相手の子どもの中には、やはりもっと財産があるはずだと言って、こちらの説明を理解してくれない人もいました。

そこで、私は、交渉を継続しても、合意を形成できる可能性は少なくいたずらに時間が過ぎるだけだと考え、遺産分割調停を申立てました。
遺産分割調停で、丁寧に経緯から分割案の内容まで説明したところ、当方の提案する分割案が合理的であることを調停委員に理解してもらうことができ、調停委員から相手方を説得してもらうことができました。
その結果、半年以上は経過しましたが、遺産分割調停がまとまりました。

本件を通じて、遺産分割協議では、どの段階で、調停を申し立てるのかを見極めることも大切だと思います。

合意形成の可能性が低いと思われるケースでも、当事者間の協議に拘り、いたずらに時間がけが経過しているケースが非常に多いような気がします。

合意形成の可能性が低いと判断すれば、直ちに調停申立てをする必要があるのではないでしょうか

一度法的手続きに移行してしまえば、当事者間で協議ができなくても裁判所が白黒つけてくれること、また裁判所が白黒をつけることが圧力となり合意が形成できることも珍しくありません。

合意形成が困難かもしれないと思えば、すぐに弁護士に相談すべきだと思います