ア行
遺言
自分の死後、自分の財産をどうするのか、法律関係を決めるための意思表示
遺言執行者
(遺言をした人は死んでいるので)遺言者に代わって遺言の内容を実現するために手続きを行う人。
遺言書
遺言内容の記載した書面。原則として、遺言は、自筆証書、公正証書、秘密証書という書面に残す形で行うことになる。
遺言信託
遺言信託とは、主に信託銀行が行う業務で、遺言者のために、遺言書作成の相談、遺言書の保管、遺言の執行まで一連の手続きを代行する業務。
遺言能力
遺言能力とは、法律的に有効に遺言をすることができる能力。原則として、満15歳から遺言能力が認められる。
遺産
被相続人が死亡時に有していた財産。借金も遺産に含まれる。
遺産分割
被相続人が死亡時に有していた財産を、誰が、どの財産に関する権利を引き継ぐのかを決める手続き。法定相続人全員で協議する必要がある。
遺贈
遺言で、自分の財産の全部又は一部を無償で他人に譲渡すること。遺贈は、原則として満15歳から行うことができる。15歳から有効に法律行為ができる点で、死因贈与(20歳から)と異なる。
遺留分
被相続人の配偶者や子ども、両親等一定の法定相続人に保証される遺産の一定割合。兄弟姉妹には遺留分は無い。
たとえ、愛人に全ての財産を遺贈する内容の遺言を残していても、配偶者や子どもが遺留分を主張すれば、最大で半分の財産は配偶者や子どもたちが取得することになる。
遺留分減殺
被相続人が贈与や遺贈したために、遺留分を侵害されたとき、遺留分を侵害された法定相続人が、贈与や遺贈を受けた者に対して、贈与や遺贈の効力を否定すること。
カ行
換価分割
遺産を売却して換金したうえで、換金した金銭を分配する方法
危急時遺言
病気等で死期が迫り書面を作成できない遺言者が、立ち会っている3人の証人に対して、口頭で遺言内容を伝え、証人の一人がその内容を書面に記載する遺言の方式。
共同遺言
二人以上の人が、同一の書証で一緒に遺言をすること。法律上、共同遺言は認められていない。遺言をするときには、必ず、一人一人個別におこなう必要がある。
寄与分
寝たきりの被相続人を長年介護したり、一緒に商売をして労務を提供したりして、被相続人の財産の維持又は増加に貢献した法定相続人が、貢献度に応じて遺産を多く取得できる制度
限定承認
相続した財産の範囲内で被相続人の借金を弁済し、余りがあれば相続する制度。複数相続人がいるときは、全員で限定承認しなければならない。
検認
相続人に対し遺言の存在及びその内容を知らせるとともに,遺言書の形状,加除訂正の状態,日付,署名など検認の日現在における遺言書の内容を明確にして遺言書の偽造・変造を防止するための手続。家庭裁判所で行われる。
現物分割
個々の財産の形状や性質を変更することなく分配する方法。たとえば一筆の土地を分筆したりすること。
公証人
法務大臣が任命する公務員(元裁判官や元検察官)で、ある事実の存在、もしくは契約等の法律行為の適法性等について、公権力を根拠に証明・認証する者。公正証書遺言を作成するときには、公証人に遺言書を作成してもらうことになる。
公正証書遺言
公証人が、遺言者から聴取した遺言内容を、公正証書に記載して作成した遺言書。公正証書遺言を作成する場合には、証人2人が必要になる。
香典
死者への弔意、遺族に対する慰め、葬儀費用等の遺族の経済的負担を軽減することを目的として行う、喪主あるいは遺族への贈与。
サ行
祭祀財産
家系図(系譜)、位牌仏具などの祭祀礼拝にしようされる物(祭具)、墓石・墓碑など遺体や遺骨を祭っている設備(墳墓)をいう。
祭祀承継者
祭祀財産を承継し、祭祀を主催する者。
死因贈与
贈与者が死亡することを効力発生要件とする贈与契約。遺言で行わなければならない遺贈(15歳から可能)とは異なり、遺言のように法律で定められた様式はない。死因贈与は、遺言とは異なり、20歳にならないとできない。
自筆証書遺言
遺言者が、遺言所の全文、日付及び氏名を自分で書き、押印して作成する方式の遺言。
推定相続人の廃除
遺留分を有する推定相続人が、被相続人に対して虐待や重大な侮辱等を行ったとき、被相続人の意思に基づいてその相続人の相続資格を剥奪する制度。家庭裁判所に申し立てる必要がある。
生前贈与
被相続人が、生きているときに行った贈与。親が子どもに対して、住宅購入資金を援助する場合や、結婚費用を援助することも生前贈与に該当する。
相続欠格
法律の定める不当な行為を行った相続人の相続権を、法律上剥奪する民事上の制裁。被相続人や相続人を殺害し刑事罰を受けた者や、被相続人を騙したり、脅したりして遺言書を作成させた者、遺書を隠したり、破棄したりした者などが相続欠格となる。
相続分
預貯金・不動産・借金等の相続財産全体に対する各相続人の持分
相続分の譲渡
遺産全体に対する相続人の持分(又は法律上の地位)を譲渡すること。遺産を構成する個々の財産を譲渡することではない。相続分の譲渡は、プラスの財産だけであり、相続分の譲渡を理由に、被相続人の借金の支払を拒むことはできない。
相続放棄
相続人が財産の承継を全面的に拒否すること。相続開始を知ってから3ヶ月以内に家庭裁判所に申述しなければならない。放棄した相続人は最初から相続人にならなかったものと扱われる。
タ行
代襲相続
相続人となる者が相続開始以前に死亡したり、一定の事由(相続欠格、廃除)によって相続権を失った場合、その相続人の直系卑属が、その相続人に代わって、相続すること。例えば、被相続人の子が死亡しているときには、孫が相続人になる。
代償分割
特定の相続人が法定相続分以上の財産を取得する代わりに、他の相続人に対して、法定相続分以上の部分の対価を支払うことで分配する方法
単純承認
相続人が、被相続人の一切の権利義務(借金を含む)を包括的に承継する制度
直系尊属
自分の父母・祖父母・曽祖父母等
直系卑属
自分の子・孫・ひ孫等
特別縁故者
相続人以外で、被相続人と同一家計で生活をしていた者、被相続人の療養介護をしたなど、特別な縁故があった者
特別受益
共同相続人の中に、被相続人から、遺贈を受け又は、結婚資金や生活の資本として贈与を受けた者がいるときに、その贈与を受けた価格も、被相続人の遺産であるとみなす制度
ナ行
内縁関係
共同生活を営み、実質的には夫婦といえるような関係であるが、婚姻届を出していないため、法律的には夫婦と認められない関係
ハ行
被相続人
相続人が承継する財産の元の所有者
秘密証書遺言
遺言者が、遺言内容を秘密にした上で遺言書を作成し、公証人や証人の前で封印した遺言書を提出して、遺言書の存在を明らかにすることを目的として行われる遺言
不在者財産管理人
家庭裁判所の選任により、不在者(行方不明になり容易に戻る見込みのない者)の財産を管理する人。
負担付遺贈
財産を贈与する代わりに、贈与を受ける者に一定の義務を負担させること。具体例としては、親が子に対して、老後の療養介護をして貰う代わりに、不動産を贈与することなどが考えられる。
包括承継主義
被相続人に属した一切の権利義務を包括的に承継すること。不動産や預貯金は相続するが、借金は相続しないという主張は認められない。
法定相続人
民法で規定されている遺産を相続できる人
法定相続分
民法で規定された各相続人の遺産の取り分。被相続人による相続分の指定がない場合に適用される。
マ行
みなし相続財産
特別受益者がいる場合に、被相続人が相続開始時に有していた財産の価額に、特別受益者の受けた贈与の価額を加算したものを、相続財産とみなすこと
持戻し
遺産分割の対象となる相続財産を算定する際に、被相続人が相続開始時に有していた財産の価額に、特別受益者の受けた贈与の価額を加算しなければならないということ
持戻し免除の意思表示
被相続人が、遺産分割をするときに、本来特別受益に該当する贈与の価格を、自分の相続財産に加算しなくてもよいと意思表示をすること