ここ最近、債権回収について、集中的にお話しさせていただいています。
債権回収は、トラブルになってから動いていては間に合わないことが多いと思います。
たとえが適切かどうかはわかりませんが、病気も、早期発見していれば助かったのに、進行してから発見したのでは手遅れになることがあるのと同じだと思ってもらえればと思います。
そのためにも、事前にトラブルになる可能性があるかどうかを発見して、対策を取っておくことが必要だと思います
まず、(債権回収ではないと言われるかもしれませんが)契約を締結するかどうかの判断のために、情報収集が必要なことがあります。
例えばですが、建築関係において、別の業者が作業の途中で工事を放棄してしまっていたり(そのために当方に依頼してきた)、他の現場でトラブルを抱えていて赤字のまま工事を進めていたり、下請け業者間の連携がうまくいっておらず工事が遅延していたり、資材を確保できずに工事が遅延していたり、他の現場の職人に対する支払いが遅れていたりするなどの事情が漏れ聞こえてくることはあります。中には、過去に自己破産したことがあるという情報が流れていることもあります。こうした情報の流れている業者であれば、自分たちが仕事をしても、しっかり対価を支払ってくれるかどうかわかりません。債権回収できない可能性が高いので、断ってしまった方がよいでしょう。仮に、何らかの事情で引き受けるにしても、相手のメインバンク、取引先、不動産等の資産の有無などを調査して、何かあればすぐにでも仮差押えできるようにしておく必要があるでしょう。また、難しいと思いますが、請負料金の支払いを、細かく(週払い、月払い等)してもらい、支払いが滞れば契約を解除できるようにしておくなどの対策も考えられます。
また、仕事の途中で、他の下請け業者のミスが自分たちの作業に影響を及ぼしたり、施主から理不尽な工事内容変更を指示されて費用が増大するというケースもあります。この場合、工事の途中で施主とけんかをするのは嫌なので、工事が終わった後で協議しようと考える人も少なくないと思います。しかし、このようなケースでは、工事が終わってからでは、取り返しのつかないことになることが少なくありません。まあ、施主とすれば、大したことない変更だから当初の契約の範囲内でプラスアルファのお金を払う必要はないと思っていて、請負業者側は当初の契約には含まれない特別な変更だと認識にずれが生じることが多いですし、工期に追われて、いつ、どのような変更をおこなったか、その変更に要した人工数、材料費等を特定する書類を残していないことが多いですからね。
しっかりとした事前調査(情報収集)によって、トラブルの可能性を把握し、トラブルに発生しそうなときには、しっりとした対策(新しく契約書を締結したり、証拠を残していく作業等)をすることで、被害を最小限にくい止めることができることもあるでしょう。
まず、少しでも気になるところがあれば、会社の経営活動に関する健康診断だ、というつもりで法律相談に行くことをおすすめいたします。