相続が発生したとき、遺言書がなければ、必ず、遺産分割協議をしなければならないのでしょうか。
親族関係が希薄になり、法定相続人全員が揃わないということも珍しくはありません。
そうなると遺産分割協議はできません。
では、遺産分割協議ができないので、遺産を取得するためには、家庭裁判所に遺産分割調停を申立てるしかないのでしょうか。
結論としては、遺産分割協議をしなくても、法定相続分に従って遺産を取得できることもあります。すなわち、当事者間で協議をしなくても、家庭裁判所に遺産分割調停を申立てなくても、遺産を取得できるケースがあります。
具体的には、被相続人(亡くなった方)の遺産が、預金や現金など、簡単に分けることができるものだけのときには、遺産分割をする必要はありません。
現金や預貯金など、簡単に分けられるものについては、被相続人が亡くなると同時に、各自法定相続人が法定相続分に従って相続することになります。たとえば、お父さんの遺産が300万円、法定相続人が兄弟3人だけだった場合、お父さんが亡くなると同時に、遺産分割協議をしなくても、原則としてそれぞれ1000万円ずつ相続したことになります(近々、例外について判例が出ることになると思います)。
もっとも、3人で話し合って、分配方法を変更することも可能です。
金融機関は、法定相続人全員の印鑑及び印鑑証明がなければ、金銭の引出を認めないことがほとんどですが、話し合いに応じてくれるところもあるようです。また、特定の法定相続人が金融機関を訴えれば、その人の法定相続分に従った金員を支払ってくれます。
まあ、機械的に分けるのであれば、敢えて遺産分割協議をしなくてもよいということですね。わざわざ、いない人を探すのもメンドクサイですし。