特別縁故者に対する相続財産分与が認められたケース

相続2

事案の概要

Sさんの父親の従兄弟であるMさんは、国策により昭和20年に家族で満州に移住しました。

終戦後、満州から日本に帰国する途中、Mさんは収容施設で両親と妹を亡くし天涯孤独となりました

MさんとSさんの家族は家族ぐるみでの付き合いをしていました

独身であったMさんは、Sさんのことを実の子どものように可愛がっていました

高齢になったMさんは、病院で入退院を繰り返すようになりました。

その際に、緊急連絡先や医師との打ち合わせはSさんが担当していました

そして、Mさんは脳卒中になり、意識不明になりました。

Mさんが意識不明になって以降、Sさんは数百万円にわたる医療費を立て替えるとともに、Mさんの自宅の管理などを行ってきました

そして、Mさんは永眠しました

なお、Mさんは保険金の受取人をSさんにしていました

Mさんの死後、SさんはMさんの自宅の管理を続けるとともに、Mさんの満州での体験を、多くの人に伝える活動を行っていました

 

受任後

受任後、後日、特別縁故者に対する財産分与の申立てをすることを前提として、小職は直ちにMさんについて相続財産管理人選任の申立てをしました

その後、相続財産管理人選任手続き後、相続財産管理人に請求できる時期を確認して、Sさんが立て替えた数百万円の医療費の返還を請求し、Mさんの遺産から全額返済してもらうことができました

そして、相続財産管理人や家庭裁判所に申立て時期の確認をとり、特別縁故者に対する財産分与の申立てをしました。

MさんとSさんの関係がわかる写真、Sさんがキーパーソンとして記載されている診療記録、立て替えた医療費等の資料、保険の受取人がSさんになっていることを示す書類、生前のMさんのことをよく知っている人の陳述書など、しっかり資料を用意することができたことから、最終的に遺産の半分近くの財産を分与してもらうことができました。

数百万円もの医療費を迷わず立て替えられるSさんのMさんに対する想い、国策で満州に移住し家族を失ったMさんの人生、保険金の受取人をSさんにしていたMさんの気持ち等などに思いをはせて、何とかしたいという気持ちが強かったので、少しでも良い結果が出て安心しました。