遺産相続の争いにおいて、お兄さんは「お母さんの意思は・・・だった。」と主張して、弟は「いや、お母さんの意思は・・・だった。」と両立しない主張をすることがあります。決して珍しいことではありません。
もちろん、どちらか一方が嘘をついていることもあるでしょう。
見る場所が変われば、見え方も変わるといいますか、「真実は一つとは限らない。」いう言葉もあるように、子供たちの目からみた親の意思が異なるのは仕方がないのかもしれません。
また、お母さんが、お兄さんと弟に、異なる内容の意思を伝えている可能性もあります。
たとえば、お兄さんには、「遺産は平等に分けるからね。」と話、弟には「昔、お兄さんには、生活費を援助してきたから、○○銀行の定期はあなたにあげるね。お兄さんには内緒にしておくのよ。」と伝えたとしましょう。
お兄さんは、弟に対して、母親の意思を踏みにじる親不孝者として、責め立てるでしょう。一方、弟は、お兄さんこそ、お母さんの気持ちを汲まない親不孝者として責め立てるかもしれません。
子供たちが、お母さんの意思は・・・だったといって、感情的な争いをすることを防ぐためには、第一には、子供たちが全員居る所で、遺産の分け方、その理由を伝えることが何よりも大切だと思います(法定相続分に従って平等に分けるときでも、そのように伝えておいた方がよいと思います)。
その次に、遺言書の作成というところではないでしょうか。
遺産の残し方について考えがある方は、正月・お盆など、子供が集まるときにでもしっかり思いを伝えることを検討してください。