有責配偶者という言葉を聞いたことはあるでしょうか?
有責配偶者というのは、離婚の原因を作った当事者を指します。たとえば、不貞行為は離婚原因になりますが、不貞行為を行った当事者は有責配偶者に該当します。
有責配偶者からの離婚を求める裁判を提起したとしても、裁判所は、なかなか離婚を認めてくれません。
有責配偶者からの離婚が認められるかどうかは、長期にわたる別居期間があり(ケースバイケースですが、少なくとも5,6年以上というイメージです)、子どもが大きくなっている、しっかり生活費を支払ってきた、離婚後しっかりと財産分与・慰謝料を支払いそうな度、様々な要素から判断することになります。
そのため、旦那もしくは妻に浮気をされた場合、離婚するかどうかの決定権は、浮気をされた側が保有しているということになります。
つまり、有責配偶者からしてみれば、離婚するためには、相手方に「YES」と言ってもらう必要があるのです。
もっとも、有責配偶者の側から、離婚を求める調停を申し立てることは珍しくはありません。
私も、何度も有責配偶者の方の代理人として調停を申し立てたことがあります。
当初、「絶対に離婚はしない。と言っていた相手方が、調停の場で、時間をかけて説得すれば、気持ちが変わって「YES」と言ってくれることがそこそこあるからです。すなわち、判決をもらうことを目的とするのではなく、相手方が「YES」と言ってもらうことが目的で裁判手続きを利用するのです。交渉方法は様々だとは思いますが、①相手方にメリットのある和解案を提示したり、②裁判所の手続きで相手方の心が折れたりして、離婚に至るケースは決して珍しくないと思います。