名古屋地方裁判所において、でっち上げのDVに対して、妻と県(愛知県警の不法行為)に損害賠償を認める判決が出ました。
新聞記事を見る限りではありますが、愛知県警は、診断書などがないにもかかわらず、不審点を確認することなく、妻の言い分のままDVを認めてしまったことに過失があると判断されたようですね
保護命令の制度については、かねてから虚偽のDVでっち上げの可能性が指摘されていました。
私は、被害者・加害者側両方で、審尋に立ち会ったことがありますが、基本的には被害者側の言い分が簡単に認められやすいのだなという印象を持ちました。もちろん、深刻なDVは多く、保護命令は大切な制度ですが、それを悪用される可能性もあるなと感じていました。
今回の判決は、虚偽のDVでっち上げに対して、警鐘を促すものになるかもしれないですね。
ここで、保護命令の手続きの流れについて、簡単に説明させていただきます。
まず、DVによる保護命令(DV配偶者は相手方に近づくなというような決定)をもらうためには、原則として、裁判所に申し立てをする前に、警察や配偶者暴力相談支援センターで事前に相談しておく必要があります。
そこで、ある程度、何月何日に暴力を受けたこと、その内容などを具体的に説明しておく必要があります。
そして、申立後、当事者の当事者の審尋(裁判官が当事者双方から話を聞くこと)、裁判所から警察などの機関に照会などを経て、保護命令がでることになります。
まあ、事前の警察と依頼人の話がうまくいっていなかったため、審尋後に、警察に補足説明に行ったことはありますが(裁判所から再度照会してもらいました)。
とりあえず、警察にDVがありましたねと認定してもらうことは、保護命令をもらううえで、重要な要件になっているということです。
だから、認定に足る経緯に、落ち度があった以上、責任を取りなさいねというものなのかもしれませんね
被害者を守るために、保護命令は重要であり、迅速に保護命令を出す必要があることから、通常の裁判と比べて、双方の意見をしっかり聞き、しっかり証拠を吟味する時間がないことはよくわかります。
診断書が存在しないことは、裁判所も容易に気が付いたのではないかと思いますし、当事者の審尋の際に、裁判官が当事者に積極的に質問すればよかったのではないかという気がします。裁判所が、どういう基準でDVを認定していたのか強い疑問が残ります。
https://www.sankei.com/affairs/news/180508/afr1805080001-n1.html