介護事故 通所介護サービスにおける転倒事故について

介護事故

本日は、通所介護サービスの利用者が昼寝から目覚めた後に転倒した事故について解説させていただきます

簡単な事案

当時95歳であったXは、Yの運営する通所介護サービスを50回以上利用していました。

Xはかなりの難聴で、話しかけても日常会話が理解できず、視力も落ちており、寝た状態から床に手をついて自力で立ち上がることはできなかった。

Xはテーブルなどが近くにあれば、テーブルに手をついて立ち上がることはできた。

Xはつかまり歩きはできる状況であり、自らトイレを探して歩行することもあった

事故当日、XはYの施設の静養室で昼寝をしていたが、布団から起きだし静養室の入り口付近まで移動し約40センチの段差から落ちて右大腿骨顆部骨折の傷害を負った

Yの従業員はXが起き上がっていることに気が付かなかった

争点

①Xが昼寝中に起き上がり移動すること、及び、入り口の段差から落ちることについて予見可能であったかどうか

②YにXの転倒を回避するためにどの程度の義務があったか

裁判所の判断

①について、裁判所は、本件事故までに50回以上通所介護サービスを利用していたこと、Xの視力、施設内でのXの活動状況などから、予見可能性を肯定しました

②事業者が認識した利用者の障害を前提に安全に介護を施す義務があるところ、Yの従業員がXの動静を十分把握できる状態でなかった、見守りを引き継ぐことなく席を外して移動してしまったことなどから必要な介護を怠ったと判断しました

損害額は470万円でした

雑感

通所介護サービスでは、実際に事業者が認識した利用者の障害の程度に応じて安全配慮義務を負うことになります

当然ではありますが、施設内での利用者の活動状況についてもしっかりと記録を残し、従業員間で共有していく必要がありますね

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