相続税対策のための養子縁組について、最高裁判決が出たようです。
新聞記事によると、平成25年に死亡したA(当時82歳)が、長男の息子である孫B(当時1歳)と生前に結んだ養子縁組について、Aの長女と二女が「ABの養子縁組は相続税対策であり、本当の親子関係を築く意思はなかったのだから、養子縁組は無効」と主張していた事案のようです。
まず、相続人の数によって、相続税の金額は異なる可能性があります。本来は税理士の分野なので、ざくっとした説明しかできませんが、遺産から一定額を引いて余剰が出れば相続税を払いましょうねということになっているところ、その一定額の計算方法は、確か3000万円+法定相続人の数×600万円(平成25年当時は、5000万円+法定相続人の数×1000万円)となります。だから、法定相続人の数が多ければ多いほど、相続税がかからないとか、やすくなるという節税効果があるわけですね。
しかし、当然ではありますが、法定相続人が3人から4人に増えれば、自分の取り分は減りますよね(配偶者は関係ないですけどね)。
相続は、感情的な問題もあり、どのようないきさつがあって争いになったかは断言できませんが、経済的に見れば、長女と二女は不平等だと思うのが自然かもしれないですね。
今回の最高裁判例にかかわらず、相続税対策としての養子縁組は多く行われてきていたのだろうなと思います。
感情的な問題を除けば、相続税対策としての養子縁組は優れているのかもしれませんね
孫の数だけ養子縁組を結べば節税対策になるし、仮に、各家庭ごと平等に遺産を配分したいというのであれば、遺言で各家庭単位で平等に遺産が配分されるように調整すればいいですしね。
また、「家」「家系」というものを重視して、跡継ぎに遺産を集中させたいときには、①跡継ぎの配偶者、跡継ぎの子供と養子縁組を締結して、②遺書ですべての遺産を「跡継ぎ」に相続させるとしておけば、仮に、不満のある法定相続人が表れても請求される遺留分の金額を圧縮できますからね(孫と配偶者が遺留分を行使しない事が前提ですが)。
使い方次第ですね。
まあ、あまり節税対策の養子縁組が横行すると、相続税に関する法律が改正されてしまうでしょうけどね。